隣のアストン 6.
■ 題に意味はあまりない。
このところ、といっても10数年来だが、車関係の雑誌を新刊で買うということがなくなった。仕事上必要な場合は別である。
時々新しいものを数冊眺め、必要なところをスクラップし、とっとと処分するというのが習いになっている。
理由はいくつもあるのだけれども、全体に時代にそぐわなくなってきているというのが一番だろうか。タイアップが過ぎる。
■ 書棚に残っているのを眺めると、90年代前半くらいまでのものがほとんどである。
当時はバブルの終わり頃で、広告には怪しげなショップが並んでいたものだった。
車と女とファッションと。それから幾ばくかの知的遊戯。
ポストモダンとかいう単語を懐かしく思い出す方もおられるだろう。
優雅な中年男を演出するため借り物の車で旅に出て、老舗旅館に泊まったり食事をしたりという構成パターンは、今となるとかなりうら淋しいところもある。
これ、あそこじゃないか。と撮影ポイントがまる分かりのこともあって、早朝集合は結構つらい。
■ 車なんてなんでもいいじゃないですか。
と、30をいくつか過ぎた彼が言う。
スマホだってどれでもいいだろ、と切り返すと、まったく分かってないなぁという顔をされるのである。