満月の下で。
 
 
 
■ 4月に入ると、旭ではなく裕次郎気分である。
 この辺り、何故なのか分からない。
 太り始める手前、そうするとかなり若い頃になるのだが、半分チンピラ風情、それでいて礼儀正しい挨拶ができたりするギャップというか、矯正する前の前歯がなつかしい。
 
 
 
■ 最近横浜にふらりと遊びにいくこともなくなった。
 横浜の中華料理というのは、中華民国の味であって決して中国本土のそれではない。日本半分、中華民国半分といった風情か。
 洋食も、素材をそのまま出したかのようなあっさり加減で、東京のそれのようにソースに必要以上に拘ったり、味に角を立てたりしないところが良かった。
 確か酒もそんな感じである。カクテルでもなんでも、あまり凝らないのである。
 
 
 
■ そうしたことが粋なのかどうか、港町の肩を持つのもなんである。
 私は二杯目を嘗めた。
 貧乏臭いのってやだよな。
 と、何故だか分からないが思うのである。