ガウチョの嘆き。
 
 
 
■ フランシス・カナロ楽団のCDを聴きながら、空いた夜の都心を廻った。
 不足分の切手を買ってからのことである。
 電話して在庫を尋ねると、彼はかけ直すと言ってかけてきた。
 受け答えがぎこちなく、年末の臨時なのかも知れない。
 暫く待つと、ぜいぜいと電話口で息が切れている。 
 
 
 
■ 走ったのですか。
 そうです。
 ありがとう。
 馬鹿だなあと思いながら、こういう奴が残っていることがちょっといい。
 私は今年初めての皮ジャンを羽織り、地下に降りることにした。