その後の葉子。
■ 朝比奈峠を駆け巡った葉子も、多分今は40近くである。
あの峠というのは思ったよりも幅が狭く、Sクラスや911のターボ辺りでは身を持て余した。
地元の車が幅を利かせていて、他府県ナンバーでいくと執拗に煽られる。
高いチャイルドつけて煽るなよ。
と先に行かせる訳だが、この辺りの意地というか見栄というか、明治以前の藩体制に近い感触は嫌いではない。
■ 何年か前、ホンダにぶち抜かれてその後信号で並んだ。
奴はフロントの辺りから薄い煙を吹いている。
私はすこし窓を開け、指先でそれを示した。