ヌーン街で拾ったもの 2.
 
 
 
■ チャンドラーの評伝には優れたものがいくつかあって、今も棚の奥にあるはずなのだが取り出すのが億劫である。
 億劫という感情は幾重にも折りたたまれていて、どうも青年中期から後期にかけての、恥ずかしい記憶が蘇るからではなかろうか。
 あの頃みっともなかったなぁ、という思いというのですか。
 若かった頃の自分が大好きだという男は、どうも信用がならない。