スラムの惑星 5.
 
 
 
■ 緑坂 2634 にこんなものを書いている。
 
    プラネット。
 
 
 
■ 夜が近づいてくるような気がする。
 もういちど、深い闇のなかに入ってゆく予感がある。
 それは空っぽの空洞とも違う、焼跡や廃虚の街とも異なる、人間が人間としてばらばらに解体された新しい世界である。
 かつて、大人も子どもも、互いに隣に居ることすら気づかないまま地平に立ち尽くしている姿を想像したことがあった。
 地平の向こうには新しいビルが建ち、視界の隅の方からゆっくりと暗闇がひろがってゆく。 
 
 
 
■ これは97年6月が初稿である。