神の子はみな踊る 5.
■ そうしたポジは寝かせてある。
外式のコダクローム辺りだと、それ程色が飛ばない。
今はなかなか手に入らないけれども。
■ 職安の階段を降りていって、男が外を眺めているのに気づいた。
窓には確か鉄格子のようなものが掛かっていたような覚えがある。
男は帽子を被っていた。今の私よりもおそらくは若く、ここに棲んで何年になるのか、それとも故郷はどこなのか、仮に尋ねても本当のことは言わない。
もちろんこちらも、話しかけたりしない。