挙藩流罪。 
 
 
 
■ いつだったか吉野のことを調べていて、大岡昇平の文章にぶつかった。
 いわゆる「天誅組の変」についてである。
 大岡さんは「自分が俘虜になったものだから、負け戦に興味がある」と書かれていた。 大岡さんは1963年新聞誌上で歴史小説「天誅組」を連載している。
 残念ながらまだ私は読んでいないのだが、この負け戦に惹かれていくという性向はとてもよく分かる。
 幕末であるなら、相楽総三の「赤報隊」
 これは岡本喜八監督で「赤毛」という映画になっていた。
 あるいは京都をめざし敦賀の地で処刑された、水戸の「天狗党」だろうか。
 この辺りの悲劇というのは、半ば構造的なものだという気もするけれども、渦中にいればそんなことは分からない。