月のもる影。
 
 
 
■ 西行の先の歌は、極めて絵心を刺激する。
 写真で表現するとして、果たしてどんな風になるのか、「人のこころをとむるなりけり」と続く歌には、どことなく哀切の感が満ちている。
 
 
 
■ 当時、みちのくというのは文化果つる地だとされた。
 もともと蝦夷との境目に関が置かれていた。60人ほどの関守が常駐ていたとも言われている。しかし西行が訪れたときはすでに廃れ、関守もいなかったようである。