がんばれ、ヤロードモ。
■ ホテルのバーへいく。
クラシックというか、旧い方のそれである。
柴田錬三郎さんがここのラウンジをほとんど事務所代わりにしていたというが、柴田さんの高輪からここへは、公園と階段と、いくつかの古い民家を通り過ぎてこなければならない。
時々少年がバスケットをしている。
■ バーに見知ったバーテンダーの姿はなかった。
バイトで入ったという彼が、何故かは知らないが私の後ろから離れなかった。
アマルニャックかなにかを嘗めていたせいだろうか。
彼は29で、酒というよりもこうした空間に興味があって、関東の北から出てきている。
部屋にテレビはなく、金が入るとCDと本を買ってしまうという。
向かい側のスツールには、ゴージャスなジャケットを羽織った男女が二人。
女性の方は40を過ぎていて、髪が染まって頬杖をついている。