グローブ。
 
 
 
■ ナルディのウッドを大分使った。
 まだエア・バックがない頃で、ステアリングを取り替えただけで鈍重な国産や欧州車の2リッターが少しはまともになる。
 無論、パワステが付いているものに限る訳だが。
 当時指先の出る皮のグローブをしていて、汗ばむウッド・ステアリングには必需品のように思えた。生意気な若造だったと今にして思う。
 
 
 
■ 豚のようなセダンに乗っていた頃、エア・バックを外すことに抵抗が生まれる。
 そろそろ真面目になろうかなと思っていたのかどうか、なるべくノーマルで外からは堅気の衆に見えるよう心がけた。無駄な抵抗である。
 どこを向いているのかはっきりしないハンドルのため、カメラ用のベルクロテープを10時近くに巻き、そこに指をかけていた覚えがある。
 
 
 
■ 車屋などにいっても、これというグローブがない。
 太いハンドルカバーだけは豊富にある。ラメなんか入っていたりする。
 恐らくは古い英車を扱うような店にいかねば、それなりのものは手に入らないのだろう。
 どうしてもロングをしなければならない時、冬場の撮影用の手袋を使うことがあって、これは内側だけが皮になっている。
 暖かい。