中世の秋。
■ 私はハザードを点け路肩にいた。付近に警官の姿はなかった。
このまま歩こうか、という気にもなったが、ここに停めておく訳にはいかない。
周囲を少し歩き、しゃがみ、ポジを入れたGRのセルフをセットする。
■ 頼まれ仕事ではないので、忘れた頃に出来上がる。
フィルム用のスキャナは何台か使っているが、それぞれ特徴があって、また組み合わせるソフトによっても微妙に色が変わっていく。
ものによってはほとんど補正しなくていい場合もあって、初めからマニュアル露出やスポット測光で狙ったようなものだった。
舞台裏はどうでもいいのだけれども。
■ 眠る前、横にある文庫を手に取る。
ホイジンガの「中世の秋」である。随分前に買った古本で、前の所有者が美術系の方なのだろう。鉛筆での線を辿っていくと面白い。