諧調の夜。
 
 
 
■ 夜の諧調。
 と書けば、すこし色気もあるだろうか。
 薄明かりの中で眺めれば、馴染んだ相方もまた、という話もあるのだが、それを言い出すと谷崎あたりまで遡らねばならない。
「洲崎パラダイス」という映画があったけれども、この監督は生涯独身で、髪の毛斜めに分けたりした色男である。
 ボクいいんだもんね。という按配の、非常にこちらに伝わるもののある感性と反骨、そして絵つくりのテンポのようなものがあった。
 
 
 
■ 東北へ行った際、この監督のミュージアムのようなものがあるのだと知った。
 いわゆる町おこしの一環なのだろう。美術館か図書館か、公の施設が郷土の作家ということでスペースを設けているらしい。
 私はややこころ動いたが、泊まるところも決めないアテのない旅だったので、そこは省いた。ラジオドラマ「恐山」の作者、寺山さんのところにも行っていない。