夜の石。
 
 
 
■「いろんなものを愛撫し尽くした果てが、石に来るといふことをよく聞いた」
 で、始まる随筆が薄田泣菫さんにある。
 愛撫というところに、独特の感じがあるものだ。
 
 
 
■ あるとき、昔見知った妙齢の行方を耳にする。
 彼女、どうしてるんです。
 半分国営であるところの客室乗務員であったひとである。
 当時、それはそれは派手というかなんというか、酒の飲み方と歩き方に年季が入っていた。
 リストラで実家にいるよ。まだひとり。
 はぁ。
 でもさ、ありゃ化けもんだよな。年くわねえ。
 12時まで保つ、いい粉があるのだと私は思った。