愛は、新しい虫。
 
 
 
■ 36の頃。
 なにをしていたかというと、思い出せない。
 そんなこともなく、ただ思い出したくないのかもしれない。
 生意気な自意識のようなものがあって、大体こてんぱんにやられる。
 
 
 
■ 坂道は、うつむいて歩くに少しうんざりする。
 地下鉄の階段は時々漏水していて、そのヒビ割れを立ち止まって見ていたいと思ったことが何度かある。