ざらつく。
 
 
 
■ 旧日本軍の「誉」エンジンについて書かれた本を捲っていた。
 前に一度開き、そのままにしておいたものである。
 壊れかけたソファの上に横になり、それを眺めていると、次第にうんざりした気分に陥るのが分かる。
 レース用のエンジンで、戦争を遂行しようとした。
 日本刀のように精緻で美的なものに陸海軍とも国運を賭けた。
 
 
 
■ こういった、半ば精神主義のようなものがどうも苦手である。
 飛燕でB29に馬乗りになったとか、もう駄目だと思ったとたん海面で背面宙返りをした隼戦闘隊長であるとか。
 どうせ死ぬなら、ブラフ・シューペリアで意味なく転んだロレンスのように、その後の物語があってもいいだろうとは思うのだが、半分は似たようなことをやっているのである。