花冷え。
 
 
 
■ 雲が流れる。
 ところどころ白いものがあって、それが花だと気づくに時間がかかった。
 私は海岸線を走っている。
 高圧電線の向こうに何本もの煙突と水銀灯のモジュールがある。
 雲よりも一層白い煙が、ほぼ水平に膨らもうとして、外は風が強いのだろう。
 
 
 
■ 確か赤門を出た友人がこの辺りに家を買った。もうすこし内陸部である。
 当時、政治家の秘書になろうか、と言っていた彼である。
 結局本社へは戻らなかったのだろうか。その辺りの事情は知らない。
 
 
 
■ 速いマツダが車間をつめてきて、黄色の信号でタイアを鳴かせた。
 あなたの前の車は、型は古いけれども、ブレーキが利くのです。
 ちょっと離れていましょう。
 あるいはお先へ。