某月某日。
 
 
 
■ 億劫というかなんというか。
 いたしかたなく酒を嘗め始めた。
 外は寒い。
 
 
 
■「赤とんぼ騒動」という吉行さんの随筆を捲っていると、酒場で柴田錬三朗さんに意見されるところが出てくる。
「飲む打つ買うのどれかをやめろ」
 とのご高説に、では打つのを止めましょう、と吉行さんは答える。
 吉行さん30代初めの辺りでありましょうか。昭和30年代初頭。
 お元気というか、そういう時代だった訳である。