江ノ島の芸者。
 
 
 
■ 森重さん扮する番頭は、かつて江ノ島で半被を着ていた。
 旅館にいた芸者と訳ありの仲になる。
 耳たぶの形を覚えていると。
 彼女はその後出世して長野の紡績工場の社長に身請けされる。
 女工の寮長となって、上野の旅館で再開を果たす。
 
 
 
■ と、粗筋を書いても致し方ない。
 見物は昭和30年代初めの上野の風情と、姐さん方の粋な着物姿である。
 森重さんがしゅしゅっと兵児帯を締めると、女中のひとりが「いい形だねぇ」と口にした。