やけにしんみりする夜だ。
 
 
 
■ 東京の冬には小林旭の歌がよく合う。
 マイトガイで売り出していた頃の旭である。
 裕次郎が育ちのいい高等教育を受けた不良を演じていたとすれば、牛革の革ジャンの似合う小林旭は、そのままそっくり勝鬨橋辺りに佇んで絵になった。
 自分は一体何者なのか、と微妙に問いかけるのが日活時代の裕次郎映画のテーマだとすれば、旭のそれは、ストレートに口にするのである。