8月の12発。
 
 
 
■ 時折尋ねるビルの地下に、一台のXJ-Sが停まっていた。
 4リッターではなく12発のそれである。
 薄っすらと埃は被っているが見事に手入れされ、BBS風のメッシュのホイルも黒ずんではいない。当時、こうしたメッシュのホイルがヨーロッパでも流行った。特にドイツでは人気だったという。
 
 
 
■ この時代のジャガーの12気筒は、エンジンにパイピングが網の目のように走っていた。
 丁度排ガス規制の頃のトヨタの2リッターにも似ている。
 どこに手を入れていいのか、俄かに判断がつかない。

 
 
■ 何時だったかどこかのPAで、こいつがボンネットを開けていた。
 オーバーヒートしている訳ではなく、少し休ませ、熱を逃がしているのである。
 周囲の視線を気にせず、そうされていたオーナーはひとりで、暫く眺めていたら奥様らしき方が飲み物を買ってきていた。