金魚。
 
 
 
■ いつだったか首都高速を走っていた。
 霞ヶ関から外側に抜けるトンネルの辺りで、右に出ようとする。
 ウィンカーを2度出した。
 ちら、とミラーを見ると、AMGの白いセダンが猛然と加速してくる。
 コンプレッサーのついた定番の直線番長である。
 
 
 
■ そこで床まで踏めばいいのだが、あるいはシフトをひとつふたつ落とせばいいのだが、私は他人様を乗せていた。
 15度ハンドルを右に振り、そして戻し、戦意のないことを顕す。