用があったら口笛を吹いてよ 3.
 
 
 
■「脱出」当時、ボガートは40代半ば。
「カサブランカ」など、結構な作品に出演していた頃である。
 バコールとの年齢差は一廻り以上。定番といえば定番の、男と女の厄介である。
 ただ、いわゆるハード・ボイルドと呼ばれる小説もその映画も、男だけでは成り立たない世界であって、必ず補助線としての女性、妙齢がいる。
 主人公が困った時に助けてくれるのは大体がワケありの妙齢で、つまり今や先は知らないが、昔一度か二度は寝たことがある間柄、またはその手前である。
 そうでなければオフクロだけだった。