モンテカルロの靴下。
■ そういう話をしているのではなかった。
ランチアにモンテカルロという2シーターのクーペがある。
私はそれが好きで時々捜すのだが、ほとんど出廻っていない。
排気量は2000.カタログでは190とあるが、イタリア式なので実際は160とかその程度だろうか。
全長はかなり短く、X1-9よりも寸足らずである。
当事のランチアの常で錆に極めて弱く、雨の後は1500ワットのドライヤーをかけねばならない。
■ 何時だったか、葉山の方角に車を走らせていた。
ちらりと見えたのが銀色のモンテカルロで、フロントグリル周辺の黒い帯で分かった。 絶妙の面積である。
一体にイタリアのその手の車というのは、フロントグリルが妙に端正で、例えばマセラティの角ばったそれなどもフロントとリアの造形で決まる。他は外しているのにである。
銀のモンテカルロは時々朱色に見えた。
スロープを登り、黒い林の方に消えていく。