11月の雲。
 
 
 
■ あるとき港の方角へ車を廻した。
 いつものこと。
 軽い打ち合わせが終わった後、そのまま流れたのである。
 世間は休日らしく、ミニバンが結構な速度で飛ばしていく。
 私は車間を開け、左車線をゆるゆると走った。
 
 
 
■ 夜になって腹が減り、シーメンズ・クラブでサンドイッチを食べた。
 昔ここには、黒人との混血のバーテンダーがいたものだが、今彼の姿はない。
 アジア系の日本語が旨い妙齢本格派がふたり、交代でキャッシャーに立っている。
 船員だろうか、地元の遊び人が数人、退屈そうに玉突きをしていた。
 あれから10年か、いや20年。
 また秋がきたのである。