冒険者たち。
 
 
 
■ 原題を「LES AVENTURIERS」
 ロベール・アンリコ監督。ジョゼ・ジョバンニ原作の名作である。
 仔細は、かつて「青い瓶の話」に寄稿していただいていた十河さんの書かれたものにくわしい。ほとんどそこで言い尽くされているところも、ある。
 
 
 
■ 主演のアラン・ドロンというのは、実は案外な単車マニアであった。
 冒頭に出てくるBMWのサイド・カーはアールズ・フォークで、R60だったか。
 私自身サイド・カーを所有したことはない。欲しいなとも思っているのだが、置き場が車一台分は優にかかる。
 若い頃、先輩のバイク乗りの方にカー側、それから単車側で何度か経験させていただいたことはある。
 サイド・カーのカー側パッセンジャーというのは、ほぼ路肩、アルファルトの20から30センチ上空に顔がある。別にそのままシートに座っていてもいいのだが、こと少し速く走ろうとすると、サーカスのような按配になってしまう。
 公道ではもちろん怖い。
 
 
 
■ 映画の中、ドロンはくるりと廻る。
 これ、下手をするとカー側を軸にして空中に舞うところで、それがどういう感じかといえば、旧ドイツ軍が登場する戦争映画、その中にそうしたシーンが見られる。
 チェックメイトキングツー、こちらホワイトロック。
 軍曹が機関銃を撃つと独特の灰色をしたサイド・カーがひっくり返る。
 あれですね。
 三点支持のジャッキ・アップ現象とでも言うのか。
 あるいは古いワーゲンやべレットGTの、一定の速度とコーナーで尻がフワリと浮かぶ様に似ているのか定かではない。