好きで乗ってる。
 
 
 
■ 裏返ってすいません、の彼女は駐車場の傍まで見送りにきていた。
 多分、車が少し変わっていたからだと思う。
 好きで乗っているものと見栄のそれというのは微妙に違うもので、麻布へ向かうモデナは例えば音だけである。
 音はいいけど、まだそこにいたのかと。
 
 
 
■ 普段のつもりで踏んだら、EPSが一瞬点滅した。
 あ、なるほど。と、ゆっくり流す。
 程度のいいユーノスの古いものと暫く併走し、それから橋を渡ろうとする。
 黒い997のポルシェが抜いていった。
 私は法定速度で、ギアを換えながら、得体の知れないものを確かめている。