恋のしずく。
 
 
 
■ 仕事を終え、DVDの「フランク・リーバ」の続きを再生していた。
 アラン・ドロン主演のTV映画の連作である。
 当時ドロンは68歳。出生に異説もあるから、ほぼ70ということだろうか。
 粗筋はそう面白いものでもないのだが、60年代から70年代にかけて典型的な美男だとされた俳優がどう老けていったのか、少しばかり興味があった。
 
 
 
■ イントロは状況説明である。
 二作目あたりから、いかにも仏映画の伝統を継いだかのようなショットと時折の暴力が挿入されてゆく。
 銃器の重さ。過剰な性能のそれを扱わないところがいい。
 横断歩道をコートの裾を翻しながら歩くドロンは、今ではそう大きくもない背丈なのだが、不思議な存在感があって嫌いじゃなかった。
 ずっとこれでやってきたという定番の歩き方である。
 レストランかカフェで、手の甲のアップがあり、そこにはいくつもの染みが目立っている。