天現寺。
 
 
 
■ この手前には米軍のホテルがあり、GI達が宿泊している。
 昔、六本木に防衛庁があった頃、すぐ傍にブルースバーがあって、訳あって時々通った。
 男のワケ、というのものには大抵女が付随しているものだが、その時はどうだったか。 ヒルズがまだ出来る前で、六本木トンネルは未完成だったように覚えている。
 
 
 
■ そのバーは半ば伝説的なところだった。
 近くにテレビ局があったせいだろう、そのような方々もくるのだが、バラードを歌わせると今聴いても泣ける「成り上がり」の方もカウンターで飲んでいたという。
 そういう話は何処にでもあるので、だからどうしたと思っていればいいのだが。
 
 
 
■ 店には一枚の写真が飾ってあって、髪の縮れた男の子である。
 背後の車は、どうみても60年代後半のアメ車。
 マイサン。
 私は100円をジュークに入れて、オーティス・レディングをかけた。