風来。
 
 
 
■ 桜には二日ほど間に合わなかった。
 そのまま峠へと向かう。
 冬の間に路肩が荒れ、ところどころで補修をしている。
 ヘルメットを被った若者が、片側交互通行の棒を振り、時々私と眼があった。
 
 
 
■ こうしたとき、ロケハンに切り替える。
 あるいは眼についたものを捜すだけになる。
 ストレージの替わりにノートPCを持っていったのだが、4ギガを一枚と2ギガの半分を使っただけで終わる。車のシートの上で転送する。これがなかなか時間がかかり、あまり実用的でないことが分る。
 RAW形式で4ギガと言えばフィルムにすれば結構なのだが、ブラケットも併用するので、被写体の数からすればそう多くはない。
 どうもひっかかるものが少なく、べったりとした絵柄ばかりである。
 
 
 
■ 泊まるだけの支度はしてある。
 スタッフにもそう言ってきている。
 それをやめ、夜までに戻ることにした。
 都合450キロばかり。リッター8.75。
 そう飛ばした訳でもない。