そこに置く色。
 
 
 
■ 坂道を昇り降りしていていると、白や薄い桃色のひとかたまりが目に入る。
 これが全て桜なのだが、こんなにあるのかと俄かに驚く。
 普段はただの緑色か、または灰色の雑木のようにしかみえていないのだった。
 
 
 
■ 夏の花火と等しく、花は遠目に限ると私は思っているところがあった。
 ことさら近づいたり、種類の薀蓄を語ったり、写真を撮りにわざわざ出かけたりというのはどうも体質に合わないような気もしている。
 
 
 
■ 山に近い小学校の校庭に花があり、赤や青のナイロンのジャンパーを着た子供たちが走ってゆく。下校時間なのか。
 なんてこったい、カメラ持ってきてないじゃないか。
 と反省したことが何年か前にあった。