わかい木 1932.
 
 
 
■ 仕事場のデスクの上はガラスがひいてある。
 一度、エスプレッソを入れる器具、その湧いたばかりのものを直接置いて、見事に割れた。
 あのときは金がなく、相当泣いた覚えがある。
 確か大井町辺りのガラス屋の親父さんが訪ねてきて、その場で面取りをしていった。
 それでなんですかい、先生は何をされているセンセイなんですかい。
 
 
 
■ おいらには難しくてさっぱりわかんねえや。
 とか言いながら、一服を何度かくりかえし、茶をおかわりして軽トラックで戻っていった。
 勉強してくれたかと言えば、全くそういうことはなかった。