隠れた馬 4.
 
 
 
■ 暫くすると一車線になって、ワンボックスに視界を塞がれる。
 右へ左へという坂を加速すると、一気に海が見える。
 私はこのカーブが好きだった。
 昔、退屈しのぎに書いた小説の中で使った覚えがある。
 
 
 
■ トンとギアを落とし、濡れた路面で半分だけ踏んだ。
 まっすぐいけば一号横羽。左に逸れればベイブリッジである。
 グリップを確かめながら、リアに荷重をかけAMGのワゴンをパスする。
 この辺り、メルセデスの10台にひとつはそのバッジをつけている。
 そんなもんだけどな。
 ルノーとプラットを共有した1.5リッターが追いすがってきて、それはそれなので左によけた。
 
 
 
■ 細かな雨が流れてゆく。
 これが雪になるのだと、薄く窓を開けながら匂いをきいていた。