九 サニー
■ 歩道で煙草を一本吸った。
水銀灯の下で奥山の渡したメモを眺めた。電話番号が書いてある。ここに掛けろということか。私はメモをたたみ、胸のポケットに仕舞った。
晃子と吉川がビルから出てくる。
「ハメただろ」
私は晃子に言った。
「ま、そういうこと」
「説明してくれんだろうな」
晃子はすこし笑う。サンクの鍵をじゃらつかせる。
「ドライブでもしましょうか、これで」
指さしてドアを開け、エンジンをかける。吉川が後ろに乗り込み、私も晃子の脇に座った。シートをもっと前に出せと吉川がうるさい。
「でぶなのよ」
晃子が言う。
「これでも三キロ痩せたんだ」
吉川は言い訳をしている。