■ 外は雨になっていた。駐車料金を二万もとられたことに腹を立てた。
どうもZ28のようだ。信号で少しアクセルを踏むとそれだけで尻が流れている。
品川埠頭の外れから湾岸線に乗る。キックダウンしないようゆるゆると車を走らせた。途中、人気のない駐車場で小便をし、何をしているのか自問した。手は洗わなかった。
東金で高速を降り細い道をいくつか抜けた。
「ホルモン」という黄色い看板のある店で塩ラーメンを食べ、海の傍まで出た。玄関のタイルがいくつか剥がれたマンションが建っている。
見上げると、ほとんど灯りはない。駐車場には銀色のセダンが一台駐まっていた。
埃っぽいエレベーターに乗り、十二階までゆくとチャイムを押した。三度鳴らしノックをして名乗った。
チェーンが開けられる。葉子はそこにいた。