夜の雲 4.
 
 
 
■ 緑坂の読者にはおそらく家族があるだろう。
 あれから10数年。
 離婚した彼もいれば、そうでもない彼女もいる。
 何時だったか電話がかかってきて、おい、おまえんとこでうちの娘使ってくれないか、と古い友人が言った。
 
 
 
■ うん、そうだなあ。
 そういうことになればいいがナァ。
 私は小津監督の映画を思い出していた。