ジプシーに会いにいった 3.
 
 
 
■ SAABの持ち主は、大手メーカー研究所の男である。
 京浜工業地帯にあるチェーンの焼肉屋で飯を喰い、そこで車を交換した。
 彼は子供が産まれたばかりで、その祝いを届ける都合もあった。
 
 
 
■ そういえばあの女、どうしているんですかね。
 お替りの烏龍茶を持ってきながら彼は言う。
 随分と前、あれこれ相談を受けていた彼とその周辺の相方である。
 寝たことあったっけ。
 いや、ないです。