月の日。
 
 
 
■ 夜半、眼が醒めることがある。
 もそもそと矩形のスペースから這い出して、酒の瓶を探す。
 若い頃、といっても30代だったが、棚の上にベルモットを何本も並べていたことがあった。ジンが数種類。
 そういうものが格好いいと思っていたわけである。
 
 
 
■ 中にぺルノーという酒があって、気圧が変わる頃、手が伸びる。
 雨が近いのだろう、と細胞の中の水が教えてくれる時分、陰々滅々と嘗め始めるのである。