ZINO.
 
 
 
■ 都心のホテルに数日泊まっていた。
 ちょっとした訳があったからである。
 色気のある話ならいいのだが、そうもいかないのが渡世というもので、狭い風呂とルーム・サービスには飽きた。
 夜中、タクシーを拾って近場に食べにゆく。
 ビールと餃子が欲しくなるのが不思議である。
 
 
 
■ 仕事の道具を持ち込んだものだから、やっていることは普段と変わらない。
 珍しくシガー売り場に「ZINO」が置いてあって、それを求めた。
 これは安価な割りに味がしっかりしているので、あれば買う。
 それからバーのカウンターで、ぼけっと一時間ほどして部屋に戻った。