タイプ E-4.
 
 
 
■ Eタイプについては、「夜の魚 外灘」で使った。
 フェラーリの456とバトルをするシーンがあって、まだ空いている上海の高速で250まで出す。で、ベルトが切れる訳である。
 確かこれは初出が94-5年だったと記憶している。
 今の上海では、そんなに飛ばすことは非現実的だった。
 大体高速に大きな穴が開いていて、いつ突っ込むか分からないのだ。
 
 
 
■ 上海には何度か行っているが、このところはカメラを持たない。
 せいぜいが小型のデジカメで記録するだけである。
 夕方から夜にかけ、旧租界の辺りで席を取っている。
 タワーと、その向こうに見える煙突の群れを眺めるのだが、ちょっと前の日本も似たようなところがあった。
 
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一 外灘(バンド)

 対岸に背の高い塔がみえている。
 手前の低い森は次第に暗くなってきて、塔とその背後に直立している幾つもの高層ビルに灯りが点き始めた。
 全部にではない。未完成のものも随分あるからだ。
 低い日が翳った。雲が流れ、すこし風が吹いてきた。茶褐色の黄浦江はところどころ斑に色を変えている。
 埠頭のこちら側を眺めると、灰色に曇った旧租界地帯の建物が並んでいる。建物の高さはそれほどでもない。柱に飾りがあり、照明を浴びるとそれが複雑な影をつくっている。その隙間に赤や紫のネオンが増え始めた。
 私は船のデッキに立っていた。思ったよりも船体は小さく、混雑している印象はなかった。貨客船なのだろう、忙しくコンテナが積み込まれている。
(夜の魚 外灘)