さえずり機械 4.
 
 
 
■ ある作家が、40代というのはある意味で曖昧な季節であると書いていた。
 若い頃、自分が40になるということは想像もつかなかったのだが、なってみると以前とは意識も生活も変わらず、なんだそういうものかと思った記憶がある。
 いや、生活は微妙に変化もしていたのだろう。
 
 
 
■ 何度か仕事で外に出たが、撮影のためでないときには機材を持ってゆかなかった。
 手ぶらである。
 同行者が不思議がっていたが、いくつ理由らしきものがあって、それを旨く説明できない。
 撮る場合には食事などは後廻しである。周りをうろつく。
 技術そのものを前提として、ほとんど集中力のようなものだが、頼まれての撮影とは異なり、内部の発酵が基礎になっている。
 それが投影されたり、または浮かびあがってきたりする。
 この関係はどちらが先ということはない。
 今はいいな。と思うことが何度かあって、ただ記憶にだけ留めた。