家へ帰らないか。
 
 
 
■ という緑坂を随分前に書いたことがある。
「甘く苦い島」でも、NYのチャイナタウンの写真にコピーとしてつけた。
 
 
 
■ このところ、朝方近くまで飲む機会が多く、ほとんど沈没している日々だが、例えばこの12月一杯で仕事を離れるという男たちと会った。
 彼は身体を悪くし、以前とはすこし違う話し方をする。
 私の吸っている葉巻を、ひとくち頂戴と廻しのみをした。
 ぼそぼそと、一見派手に動いている組織の内実を話してくれたりする。
 割り切れないものが多い時、無理して割り切ることはできないでいる。
 
 
 
■ 帰るところがあるのだから、そこへ戻るべきなのだろうと思う。
 坂道をゆっくりと下りながら、同世代の男ふたりは寒いぜと肩をすぼめたりした。