風の吹く町 5.
 
 
 
■ 私は白菜を助手席に置いて、港の方角に出た。
 波が打ち寄せている。
 堤防のようなものがあって、しゃがみこんだ人影があり、もしかすると岩海苔を採っているのかも知れない。
 まだ昼だというのに、細い月が出ている。
 海岸からふりむくと、低く山のようなものがくすんだ紫色で、そこまでは大分あるようだった。