風の吹く町 2.
■ サングラスをかけた男の一人旅は怪しい。
東京からかと聞かれたのは、品川ナンバーを見てのことだろうか。
私はカメラバックを持っていて、古いキャノンと似たような年式のニコンであった。
同じ系列にしなかったのは、当時レンズがまだ揃ってなかったからである。
広角の時はこちら、と首から二台ぶらさげる。
何故かは知らぬが、二台一眼レフを持っていると世間はカメラマンであると認識してくれるらしく、小学生が手を振る。
一輪車を押した千鳥格子の割烹着を着たおばさんが微妙にうつむく。
おじさん、○○新報のひとか。いつ載るんだ。
と、半ズボンの上級生が代表で聞きにきたこともあった。
彼からみると、おじさんなのだなと納得をする。
この県では、○○新報がデフォルトであるらしい。