あざとさについて。
■ いつだったか港区にあるクリニックで、採血のために腕を出していた。
「北澤さんはなんの仕事をしているんですか」
と、担当の看護士に尋ねられる。
あ、デザインとか写真とか、そ、そんな按配で。
どもる。
「やっぱり、そういうオーラが出ていると思いましたよ」
■ うーん。
ここの先生は某大学で客員教授をされている方なのだが、血を抜かれるときにそういう話になるとは思わなかった。
眼の前に看護士さんの腹があって、妙齢中ほどなのだろうが、見上げると怖い。
「痛くしないでね」
と、言おうと思ったが、ハードボイルドなので我慢した。