暗闇坂くだる。
 
 
 
■ グリフィンズという葉巻を吸いながら、インスタント・コーヒーを飲んでいた。
 寝癖を立てながらである。
 ほぼ隣にあるホテルの地下にはバーがあって、そこにもシガーが売られているのだが、種類が少ない。時々よたよたと買いにいって、店員に驚かれる。何故驚くのか、服装でひとを判断してはいけない。
 どうもここは、カウンターに焼酎が並んでいるので今ひとつである。
 昔と大分違う。
 ダンディズムとはやせ我慢のことだが、その始祖と言われるブランメルの評伝を読んでいると、斜に構えた二線級のお坊ちゃんの遊びであるとも言え、白けた覚えがあった。