ディア・オールド・ストックホルム。
 
 
 
■ 薄い眠りから醒めると身体が重い。
 そんなに飲んだだろうか、と思い出すが、目の下に隈のようなものができていた。
 壊れかけたソファの上で新書を二冊読む。
 こちらが歳を取ったせいか、読み応えのある本が少ない。
 
 
 
■ 先日、皮底の靴を履いて会合にでかけた。
 すぐ近くにあるホテルのエントランスで車を拾う。
 ボーイはふたりいて、私がネクタイをしている時にはすぐに近づく。
 君それはなにか間違っているんじゃないか、という気分もあるのだが、実はそうとも言えない。上海では車と腕時計で全てを判断する。
 雨でなかったので、靴の底は削れずに済んだ。
 
 
 
■ 政治家がいたり役人がいたり、新聞社や代理店、テレビなどのひとたちがいる。
 文化人もちらほらしたり、制服を着た綺麗なお姐さんも並んでいる。
 昔なら少しうんざりしたところなのだが、何、私の仕事も虚業なのだから仕方がない。 ま、こんなもんだろうな、と思いながら壁の片隅で酒を嘗めている。
 先輩格のどなたかがいて、時々挨拶などをしたりする。
「世は営業」と山本夏彦さんは書いている。
 でも、投げやりなんだよなあ。