無頼という。
 
 
 
■ 戦後、無頼派というブンガク上の流れがあって、青春の一時期、大抵はそれにかぶれた。
 オダサクが、駐車じゃね、注射しながら講演をしたとか、安吾がアドルムを飲んで税務署と喧嘩したとか。
 ラモーという犬がいて、死んだ時、安吾はオイオイ泣いたと言う。
 
 
 
■ 世の中に文学青年は山ほどいるが、ほんとうに読みごたえのあるものを続けて書けるひとというのは少ない。
 一太郎が使えるようになったことが、それ程スバラシイことなのだろうか。私は思うのだが、ネットを作るということは、もしかしたら恥ずかしいことではないだろうか。
 自意識だけが膨張すると、困ったことにはならないか。
 
 
 
■ 彼等は無頼でもない。
 無頼とは、自分が受け入れられないことを薄く知っていて、その悲しみに耐えているひとのことを言うのだと思う。
 

 
○昔坂 vol.900 94年5月