水平くん。
 
 
 
■ 緑坂 3329 にある吉行さんの発言には、肝になっている部分がひとつある。
 あらゆる人間を水平に見る。
 ということであるが、もういちど読み返すと、意識を持つことは簡単だが実際にスッと見ることはなかなかできない、とも言われている。
 微細なことであるが、この意識の往復運動がいわゆる吉行さんの文学の根にあるものであろうか。
 
 
 
■ 例えば平等と口にすることは簡単だが、現実にはそうもゆかない。
 上海のXJと港区や足立区のそれはやや違って見える(註:XJとはジャガーのセダン)。 もっと過激なことを言えば、同じ仕事をしていても肩書きが正社員と派遣では現実の社会では随分と違った扱いを受けてもいる。
 これらはつまるところ政治的な問題なのだが、それを批判する側自体にそういう視点があって、内部で細かな階層を作ってもいたりもした。
 文学とか文芸のいいところは、そういったしがらみが少ない、というところだと先輩に聞いたことがある。
 才能のある人間はいずれ表に出る。こともある。
 出方は様々で、またそのジャンルも違うのだけれども。
 
 
 
■ 息をする度にゲンコと蝶々が出たり入ったりする。
 ちょっと止めてみ。
 とかいって、酒をショットで嘗める。
 彼女は美人なのだが、中が広い。
 しかし中のことまでは責任が持てないともいう。
 こちらは入り口がメラニンなのだが、伸ばすとどれくらいいくのかと試した。
 音楽室にあったアコーディオンを思い出したりした。
 それでいて、月が出ていたりするのである。