長い旅を続けていると、何処なのかを忘れる。
夢も古びてくる 3.
■ 車や単車のことを書くと止まらなくなる、とか昔からの緑坂読者には言われる。
ま、携帯電話の型番にこだわるよりは、ややましだろうという気もしているが、本質的には変わりがない。
これを幼児性とみるか、仕事の糧とみるか、立場によって様々だが、例えば吉行さんも二台目がフォルクスワーゲン、その後がBMWの2002である。
当時の02といったらああた、なかなかのものなのだが、吉行さんは夜の厄介を複数こなすために車が必需品であった。人工水晶体を入れた辺りから運転をやめられている。
■ と、このように書いているのは、私自身、身体の何処かが乾いていることを自覚しているからだろう。
酒でもなく女でもなく。かといって、これをすれば儲かるとか名が出るとか、そういった昼間の厄介その他でもなく、なんとなく飢える(かつえる、と読む)ような状態があちこちにあって、それを飼いならすのに苦労している。
思えば、そんなことばかりだ。